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検索ワード: 笠原和夫

全10件

日本暗殺秘録 表紙画像

日本暗殺秘録

笠原和夫,中島貞夫

990円(税込)

2019-03-07

明治から昭和初期に起きたテロリズムに、笠原和夫(当時42歳)が綿密な取材をもとに挑戦。日蓮宗、天皇制など日本の禁忌にリアリズムで肉迫、暗殺の一瞬の光芒を東映オールキャストで描く。原作からはなれた、ほぼオリジナルシナリオである。
1969年、第16回京都市民映画祭脚本賞受賞。

※原作者の鈴木正さんの所在を、版元、ビデオ会社などに問い合わせたのですが分かりませんでした。ご存じの方がいらっしゃいましたら、情報をお寄せください。

底本:「笠原和夫 人とシナリオ」(シナリオ作家協会、2003年刊)

1971年/監督:中島貞夫/原作:鈴木正/主演:千葉真一、片岡千恵蔵、高倉健、菅原文太

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博奕打ち 総長賭博 表紙画像

博奕打ち 総長賭博

笠原和夫

990円(税込)

2018-10-30

笠原和夫がギリシャ悲劇を念頭に書き上げた名作シナリオ。
傑作の誉れ高き同作品であるが、正月第二週に公開されたときは東映が期待したほどの興行成績ではなかった。火をつけたのは三島由紀夫が「映画芸術」1969年3月号に書いた批評である。それまで批評というものとは縁がなかったヤクザ映画が、はじめて脚光を浴びたのである。少し長くなるが、三島の映画評を抜粋する。

これは何の誇張もなしに「名画」だと思った。何という自然な必然性の糸が、各シークエンスに、綿密に張りめぐらされていることだろう。セリフのはしばしにいたるまで、何という洗練が支配しキザなところが一つもなく、物語の外の世界への絶対の無関心が保たれていることだろう。(それだからこそ、観客の心に、あらゆるアナロジーが許されるのである。)何と一人一人の人物が、その破倫、その反抗でさえも、一定の忠実な型を守り、一つの限定された社会の様式的完成に奉仕していることだろう。たった一個所、この小世界が破れかかる右翼団体のエピソードがあるが、それすら麻薬密売をたくらむ暴力右翼で、何らイデオロギーも、その批判も匂わない。何という絶対的肯定の中にギリギリに仕組まれた悲劇であろう。しかも、その悲劇は何とすみずみまで、あたかも古典劇のように、人間的真実に叶っていることだろう。
(後略)


1968年/東映ヤクザ/監督:山下耕作/主演:鶴田浩二、若山富三郎、藤純子

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博奕打ち いのち札 表紙画像

博奕打ち いのち札

笠原和夫

990円(税込)

2018-10-30

「昭和の劇」(太田出版)で荒井晴彦が「これは傑作です」と大絶賛。笠原本人は京都の旅館に缶詰になり、そうとう苦しんで書いたらしい。ヤクザ映画にしてはしっとりと濡れた、エロチシズム漂う男と女の話になっている。
1970年9月に着手し、大阪の松島、伊東、天城、大森、梅屋敷など各地のシナリオ・ハンティングを経て12月初旬に第一稿を執筆。同月29日に直し作業を終了。

底本:「笠原和夫 人とシナリオ」(シナリオ作家協会、2003年刊)

1971年/東映ヤクザ/監督:山下耕作/主演:鶴田浩二、安田道代、若山富三郎、渡瀬恒彦

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女渡世人 おたの申します 表紙画像

女渡世人 おたの申します

笠原和夫

990円(税込)

2018-10-30

「女渡世人」シリーズは、同じく藤純子主演「緋牡丹博徒」シリーズが陥った形式主義を打ち破ろうとして作られた。「おたの申します」はその第二作目。任侠の掟と心情の相克が、これでもかと藤純子にのしかかる。ついに我慢の限界を超え、彼女が脇差を抜いた相手とは……。ラストシーンのセリフ「お母アさん……!」が圧巻。


1971年/東映ヤクザ/監督:山下耕作/主演:藤純子、菅原文太、島田正吾、三益愛子

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県警対組織暴力 表紙画像

県警対組織暴力

笠原和夫

990円(税込)

2018-10-30

東映の岡田茂社長が先に「県警対組織暴力」というタイトルを思いついた。この題名で実録路線ものを書いてほしいと笠原和夫に依頼。笠原が自ら「会心の出来」と言ったシナリオが完成する。準備稿が直しなしのまま決定稿となった。
警察とヤクザが対立する構図の中、菅原文太演じる警官は両者に深く通じているがゆえにどちらにも帰属できず、すでに家族にも見放され、己の行き場を見失っていく。アイデンティティの喪失もまた人間の在り様であるという笠原和夫のメッセージには、世の中の底知れない混沌が渦巻いている。


1975年/東映ヤクザ/監督:深作欣二/主演:菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫、菅佐野浅夫、山城新伍

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十一人の賊軍 表紙画像

十一人の賊軍

笠原和夫

550円(税込)

2018-10-30

未映画化の梗概(シノプシス)。ホン読みのとき、岡田茂京都撮影所所長に「ちょっと待て。最後はどうなるんだ」と聞かれ、笠原は「全員、討ち死にで負ける話です」と答えた。すると、岡田は「そんな負ける話なんかやってどうすんのや!」と激怒し、企画は一遍に流れてしまった。ペラ350枚のシナリオ(第一稿)は、頭にきた笠原が破り捨ててしまって残っていない。
奥羽越列藩同盟への新発田藩の裏切りを書いたシノプシスである。梗概なので短いが、抜群に面白い集団抗争時代劇になっている。


底本:「笠原和夫 人とシナリオ」(シナリオ作家協会、2003年刊)


1964年/非映画化/時代劇/梗概

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股旅三人やくざ 秋の章 表紙画像

股旅三人やくざ 秋の章

笠原和夫

990円(税込)

2021-12-03

沢島忠監督による全三話あるオムニバス映画。本作は第一話であり、笠原和夫が脚本をしている。第二話(冬の章)を中島貞夫、第三話(春の章)を野上龍雄が担当した。
秋・冬・春を舞台にしており、それぞれの季節に合わせた三者三様のやくざの生き様を見ることができる。第一話(秋の章)では仲代達矢演じる千太郎が主人公である。兇状持ちである千太郎と女郎役である桜町弘子の人情話が主軸であり、股旅物でよくある古典的な物語となっている。
仲代達矢にとって股旅やくざを演じるのは初めてであり、惚れた女郎の為に身命を賭する姿をシリアスかつ重厚に表現している。

1965/東映/監督:沢島忠/主演:仲代達矢、桜町弘子、内田朝雄、尾形伸之介、田中邦衛

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やくざの墓場 くちなしの花 表紙画像

やくざの墓場 くちなしの花

笠原和夫

990円(税込)

2021-12-03

『仁義なき戦いシリーズ』にて大ヒットを記録した深作欣二+笠原和夫コンビの最終章。
本作はヤクザと警察の癒着を描いており、それに加えて在日問題にもスポットを当てている。
渡哲也演じる一匹狼の刑事とヤクザが盃を交わし、在日であるという共通点を持つヤクザの妻と恋に落ちる。徐々に混沌が増していき、ラストの壮絶なシーンへと繫がる。
笠原和夫は本作を機に東映を退社。フリーの脚本家となり、以後ヤクザ映画とも手を引くこととなった。

第50回キネマ旬報ベスト・テン第8位。

1976/東映/監督:深作欣二/主演:渡哲也、梶芽衣子、矢吹二朗、大島渚、梅宮辰夫/上映時間:96分

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祇園の暗殺者 表紙画像

祇園の暗殺者

笠原和夫

990円(税込)

2022-01-19

幕末時代劇の中で尊王攘夷派VS佐幕派の構図は数多く扱われており、本作もその中の物語である。
志戸原兼作(近藤十四郎)は薩摩藩を脱藩し、土佐勤王党の武市瑞山(佐藤慶)と手を組み、人斬りとして名を馳せる。
志戸原はある暗殺現場で親を目の前で殺された娘の絶望的表情に衝撃を覚える。その数日後、刺客により傷を負った志戸原はお鶴という町娘に手当を受けた。
実はお鶴は先の暗殺現場の娘の姉であり、暗殺を目撃した妹は精神を病んでしまっていた。
罪の意識が芽生えた志戸原は無慈悲な殺生に疑問を抱き始める。しかし武市は全く手段を選ばず冷徹無比な行動を部下に指示し続ける。
さらに元薩摩藩である志戸原は土佐で固めたい武市にとって邪魔者になり、疎外されていく。志戸原は武市と真っ向から対立。武市はある決断を下す……。
複雑な三藩(薩摩・土佐・長州)の対立関係、幕末の情勢を交えて描写しており、笠原和夫の造詣の深さが伺える。
本作はシナリオ文庫でも取り扱っている、橋本忍の『人斬り』に通じている部分がある。『人斬り』では武市が岡田以蔵を暗殺者に仕立て上げ、操る。京都町奉行四名暗殺事件を扱っているのも共通している。
笠原和夫オリジナルシナリオである本作に橋本忍は少なくとも触発されているであろう。照らし合せて読みたい作品である

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あゝ決戦航空隊 表紙画像

あゝ決戦航空隊

笠原和夫,野上龍雄

990円(税込)

2022-11-28

特攻隊の生みの親といわれている大西瀧治郎を主人公に、鋭く太平洋戦争をえぐった名作。74年3月に着手。児玉誉士夫、大西瀧治郎夫人らに取材する。野上龍雄は児玉誉士夫が目を真っ赤にして次のように語ったと「笠原和夫 人とシナリオ」に書いている。「敗戦時、天皇は人間宣言をしたのがまちがいである。まず第一に退位し、首都を去り、伊勢神宮の祭司になるべきだったそれで初めて<国の象徴>になりえたであろう」と。笠原と野上はこの言葉に共感し、作品の中に匂わせた。以下はシナリオに書かれたセリフの抜粋。
大西「日本はそこまで死力を尽して戦ってきたんですか……負けるということはですよ、天皇陛下御自ら戦場にお立ちになって、首相も、閣僚も、我々幕僚も、全員米軍に体当りして斃れてこそ、始めて負けたと云えるんじゃありませんか、和平か否かは残った国民が決めることです……」
小園「天皇陛下、お聞き下さいッ、あなたはあやまちを冒されましたぞ! あなたのお言葉で戦争をお始めになったのに、何ゆえ降伏なさるのでありますかッ……!」

底本:「笠原和夫 人とシナリオ」(シナリオ作家協会、2003年刊)

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