シナリオ作家 検索結果

検索ワード: 野上龍雄

全6件

暴動島根刑務所 表紙画像

暴動島根刑務所

野上龍雄

990円(税込)

2022-11-28

「脱獄広島殺人囚」に次ぐ野上龍雄のオリジナル刑務所シナリオ第二弾。たくさんの元囚人に取材し、敗戦直後の過酷な刑務所をエンターテイメントに仕上げた力作である。野上龍雄はこのシナリオについて次のように記している。
「前作では<自由への執念>を、今回は<鎖からの解放>を書いたと一応は言えるかもしれないが、元より、そんな抽象的主題はぼくの念頭にはなかった。このニ作品を通じて、ぼくが目指した実験的な試みは、一瞬後の行為が予断出来ぬ人間に何とかアプローチし、その多様な側面を造型すること。これに尽きる。
 だから、今のぼくには上手な芝居、巧妙なプロットは興味がない。こうした人工的、修飾的な業<わざ>よりも、今、必要なのは、中島貞夫氏がよく口にする<それ自身、力のある被写体>だ。」

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現代やくざ 血桜三兄弟 表紙画像

現代やくざ 血桜三兄弟

野上龍雄

990円(税込)

2022-11-28

岐阜のやくざ組織をつぶすために大阪の大きな組から鉄砲玉が乗り込んでくる。屈強な鉄砲玉に手を焼く幹部たち。彼らは自分たちがうまく生き残ることしか考えていないようだ。幹部を信じつつも次第に疑念にとらわれる子分の葛藤、その子分の兄で鉄砲玉に女を寝取られるスナック経営者の葛藤、スナックで働きながらやくざに憧れる臆病な若者の葛藤、それぞれの葛藤がラストに向ってねじ曲がりながら収束していく。「鉄砲玉の美学」にも共通するが、正調なやくざ映画とは一線を画する、名も地位もないチンピラ(若者)に焦点を当てた野上龍雄ならではの才覚溢れるシナリオである。

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博奕打ち外伝 表紙画像

博奕打ち外伝

野上龍雄

990円(税込)

2022-11-28

「博奕打ち」シリーズ最後の作品。そして東映ヤクザ映画、最後のオールスターキャスト作品でもある。シナリオは野上龍雄のオリジナル。野上は「シナリオ創作ノート」で次のように書いている。
「所謂オールスター脚本については、笠原和夫氏が述べているように<何人かのスターさんの絢爛たる見せ場と絡みを、交通巡査よろしく捌く>ことが、技術として、何よりも初めに要求される。これは大変な難事である。なぜなら、これを実行するに当たっては、従来通りの日常の現実感を尊重する一方で、舞台の様式美を仮想せねばならず、更にこの両者を一本のシナリオの中で両立させる為には、強靭な戯作者魂とでもいったものが不可欠だからである。生半可に立ち向かってはこっちがバラバラになる。事実、ぼくは何度も立往生し密かに逃亡すら考えた。
 台辞ひとつをとりあげてもそうだ。ある節度がいる。これ以上書いたら冗舌になるというギリギリの境の所でセーブしなければならない。無論、このホンがそうなっているというのではない。只、その辺を常に自戒していないと、前述の現実感に支えられた様式美が定着して来ないように思われる。迸るままにこれでもかと思いのタケを熱っぽくブチまける若い映画ではないのだ。」

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鉄砲玉の美学 表紙画像

鉄砲玉の美学

野上龍雄

990円(税込)

2022-11-28

鉄砲玉になって敵地に乗り込んだチンピラの青春を描く。東映ヤクザ映画のような男の美学は、主人公からことごとく剥ぎ取られている。ハリボテのヤクザは哀しい。「真夜中のカーボーイ」を思わせるラストシーンがこたえる。東映ヤクザ映画の傑作を書いてきた野上龍雄のオリジナルシナリオ。

底本:「アートシアター100号 鉄砲玉の美学」(日本ATG、1973年刊)

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あゝ決戦航空隊 表紙画像

あゝ決戦航空隊

笠原和夫,野上龍雄

990円(税込)

2022-11-28

特攻隊の生みの親といわれている大西瀧治郎を主人公に、鋭く太平洋戦争をえぐった名作。74年3月に着手。児玉誉士夫、大西瀧治郎夫人らに取材する。野上龍雄は児玉誉士夫が目を真っ赤にして次のように語ったと「笠原和夫 人とシナリオ」に書いている。「敗戦時、天皇は人間宣言をしたのがまちがいである。まず第一に退位し、首都を去り、伊勢神宮の祭司になるべきだったそれで初めて<国の象徴>になりえたであろう」と。笠原と野上はこの言葉に共感し、作品の中に匂わせた。以下はシナリオに書かれたセリフの抜粋。
大西「日本はそこまで死力を尽して戦ってきたんですか……負けるということはですよ、天皇陛下御自ら戦場にお立ちになって、首相も、閣僚も、我々幕僚も、全員米軍に体当りして斃れてこそ、始めて負けたと云えるんじゃありませんか、和平か否かは残った国民が決めることです……」
小園「天皇陛下、お聞き下さいッ、あなたはあやまちを冒されましたぞ! あなたのお言葉で戦争をお始めになったのに、何ゆえ降伏なさるのでありますかッ……!」

底本:「笠原和夫 人とシナリオ」(シナリオ作家協会、2003年刊)

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柳生一族の陰謀 表紙画像

柳生一族の陰謀

深作欣二,野上龍雄,松田寛夫

990円(税込)

2022-11-28

東映が、「仁義なき戦い」以降の実録路線の打開策として、12年ぶりに製作したオールキャストの本格的時代劇。映画は大ヒット。ラストの度肝を抜くどんでん返しに賛否両論うずまき、話題になった。野上龍雄は次のように書いている。
「(略)時代劇をやらんかという話があった。何かピッタリ来る感じがあった。江戸時代なら難しいと返事をしたら、もう少し古くてもいいと言う。それで決まった。狙いは初めからすぐついた。稀有のことである。だからといってスムーズに出来たわけはないが、少なくとも迷いはなかった。ヤワな奴、シラけた奴、己れをロングに置いて滔々と鳥瞰図を語る奴は書くまいと思った。そうではなくて、自分の信じるままに生き、その故に闘い、そして死んでいく個体の群れを書こうと思った。
 ひどく簡単なことだ。しかし、これは時代劇だから可能なのだ。各人が夫々の胸の中にある熱い思いが具現されるのは、多分、送り手も送られる側の誰もが経験したことのない時代の中でこそ……。」
第2回日本アカデミー賞優秀脚本賞、作品賞、主演男優賞、助演男優賞、技術賞を受賞。

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