シナリオ作家 検索結果

検索ワード: 橋本忍

全6件

上意討ち 拝領妻始末 表紙画像

上意討ち 拝領妻始末

橋本忍

990円(税込)

2018-12-25

「切腹」(62年)と同じ原作・脚本・監督による本格時代劇である。封建体制を守るため、会津藩が馬廻り組の藩士に無理難題をおしつける。じりじりと追い詰められていく藩士。彼は虚しい抵抗と承知のうえで反旗を翻す(視点を変えれば、この抵抗は自分のこれまでの人生を精算する絶好の機会でもあった)。全編に伏線がはりめぐらされたシナリオはまさに理詰めで綿密に構成されており、読者を釘付けにする。会津藩の権力をかさにきた無茶ぶりと藩士の葛藤はサスペンスをうみ、そこに恋愛、友情、家族もからんで輻輳し、ついに藩士の怒りは爆発するのであった。
第28回ヴェネツィア国際映画祭・国際映画評論家連盟賞。
1967年キネマ旬報日本映画第1位。
「上意討ち」は舞台やテレビドラマでもたびたびリメイクされているが、2013年2月にテレビ朝日系列でリメイクされたシナリオは、橋本忍が自ら改訂したものである。


1967年/時代劇/三船プロ+東宝/監督:小林正樹/原作:滝口康彦/主演:三船敏郎、加藤剛、司葉子、仲代達矢

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切腹 表紙画像

切腹

橋本忍

990円(税込)

2018-12-25

滝口康彦の「異聞浪人記」( サンデー毎日大衆文芸賞佳作受賞)を橋本忍が脚色した傑作時代劇。原作を読んで面白いと思ってから1年後、11日間で書き上げた。組織と個人の対立である。井伊家を代表する家老と切腹の座についた浪人。対峙するこの二人の回想が巧妙に現実と切り結びながら、物語は実に論理的に意外性に満ちた展開をしていく。橋本忍ならではのまったく無駄のない完璧なシナリオである。
カンヌ映画祭審査員特別賞受賞。


1962年/時代劇/松竹/監督:小林正樹/原作:滝口康彦/主演:仲代達矢、岩下志麻、石浜朗、三國連太郎

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加賀騒動 表紙画像

加賀騒動

橋本忍

990円(税込)

2020-02-03

日本映画の時代劇は1945年9月、GHQの指示により製作・上映が禁止され、解除されたのは6年後の51年3月(同年4月にサンフランシスコ講和条約締結)だった。52年、そんな時代を背景に村上元三の「加賀騒動」を橋本忍が脚色した。橋本は時代劇について「僕は時代劇のほうが好きなんだ。時代劇は目玉の松之助からずーっといろいろあって、伊藤(大輔)のオッチャン、稲垣(浩)さんや、戦争で死んだ山中貞雄とか、そういう一連の流れがあるわけね。(中略)本流は時代劇だよ。それを安易に棄てることはないという気がする。だから時代劇をやってみたいと思うね。基本的にこれは変身なんだよ。頭に髷が乗っかったら、今とは違うことをどんなにやってもいいんだよ。それを今の感覚で、どこまで持たせるかが、監督であり、ライターの芸だと思う」(月刊「シナリオ」91年9月号)と語っている。
「加賀騒動」では、藩内政治の抗争がお家騒動に発展するのだが、その原因はこれまでの慣例を破り足軽から家老にまで出世した武士の存在と、彼が足軽だった頃の恋心にあった。封建制度によって埋もれた純愛を理詰めの構成で浮かび上がらせる橋本忍の職人芸に感服。


1953年/時代劇/東映/監督:佐伯清/原作:村上元三/主演:大友柳太朗、小沢栄、加藤嘉、東恵美子、東野英治郎

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伴淳・森繁の糞尿譚 表紙画像

伴淳・森繁の糞尿譚

橋本忍

990円(税込)

2018-10-30

火野葦平の芥川賞受賞作「糞尿譚」が原作。当初は山本薩夫監督で映画化される予定だったが、クライマックスの糞尿を引っかけるシーンが問題となり、頓挫。当時、橋本忍は次のように書いている。
「しかし糞尿譚をやることは、クライマックスであり、頂天である。ラストの小森彦太郎の押さえに押さえた怒りの爆発が見世場であって、肝腎かなめのそこをやらなきゃ糞尿譚自体の話が成りたたないことは企画の当初から分かっていることであり、今更、それを云々されることは、何か私には今だに納得の行かない妙な話である。(中略)なんのかんのとゴタクを並べてみたが、折角書いたこの種のシナリオがお倉になることは、第一金にもならず、新しい冒険的な型破りなものに対する私自身の意慾が減殺されて、非常に残念であると云うことだ。」
しかし、橋本がこの文章を書いてからすぐ、後に盟友となる野村芳太郎監督で映画化が決定。もちろん、クライマックスのシーンはしっかり描かれている。


1957年/文芸/松竹/監督:野村芳太郎/原作:火野葦平/主演:伴淳三郎、森繁久彌、山茶花究、沢村貞子、佐賀三智子

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八甲田山 表紙画像

八甲田山

橋本忍

990円(税込)

2018-12-25

原作は作家・新田次郎のベストセラー「八甲田山死の彷徨」。封切当時で70万部も売れていた。雪山での遭難を描いた小説であるため、映像化は不可能と言われていたが、7億円もの製作費と、豪華な俳優陣、3年に及ぶ歳月をかけて、八甲田山の惨劇がスクリーンに蘇った。
日露戦争の2年前、明治35年に実際に起きた陸軍歩兵連隊の雪中行軍遭難死という重い題材にも関わらず、観客が映画館の周りを行列し、それまで「日本沈没」がもっていた日本映画興行記録にわずか1週間で達し、未曽有の配収記録を樹立。橋本プロ(橋本忍が野村芳太郎らと設立)としては「砂の器」のヒットに次ぐ快挙となった。
被害が甚大だった青森第五連隊と被害が軽微だった弘前三十一連隊。それぞれの雪中行軍が交互に描かれ、個人と組織の関わり、人間と自然の関わりがあぶりだされる。第五連隊の神田大尉に扮した北大路欣也が血を吐くように叫ぶ「天は……天は我々を見放した」のセリフが流行した。
第1回日本アカデミー賞主演男優賞(高倉健)、音楽賞(芥川也寸志)を受賞。


1977年/戦争/橋本プロ、東宝、シナノ企画/監督:森谷司郎/主演:高倉健、北大路欣也、加山雄三、三國連太郎、丹波哲郎、緒形拳

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人斬り 表紙画像

人斬り

橋本忍

990円(税込)

2021-12-03

司馬遼太郎の短編『人斬り以蔵』を参考文献にし、橋本忍が脚本を担当した。
フジテレビジョンが映画製作第1弾『御用金』に続く第2弾として勝プロダクションと組み本作を生んだ。監督は『御用金』の五社英雄。
「人斬り以蔵」の異名を持つ土佐最強の剣士、岡田以蔵の半生を描く。冷徹無惨なイメージの岡田以蔵を勝新太郎が演じることにより、お茶目で人間味のある人物になっている。
より真剣に近い臨場感を求める五社監督が手掛ける殺陣は、俳優の迫真の演技を引き出し、本作の見どころの一つである。
薩摩の田中新兵衛役に三島由紀夫が起用され、切腹シーンは話題を呼んだ。約1年後三島事件で切腹死したという運命的作品でもある。

1969/フジテレビジョン+勝プロダクション/監督:五社英雄/主演:勝新太郎、仲代達矢、三島由紀夫、石原裕次郎、倍賞美津子/上映時間:140分

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